「スタイル」という、便利な言葉がある。
自分のスタイル、大人のスタイル。男のスタイル、なんて表現もする。40代の女性でいうと、「大人の女のスタイル」というところだろうか。
だいたい、「自分のスタイルのある人はカッコいい」という文脈で使うことが多い。
だが、このスタイルという言葉、実はちょっとやっかいだな、と最近、思っている。それは言いかたを変えれば「思い込み」なんじゃないかと気づいてしまったのだ。
この色が私には似合っている。
この形と丈のスカートがきれいに見える。
こんなふるまいをするのが私らしい。
こんな態度でいるのが私をより素敵に見せてくれる。
…みんな、もし、ただの思い込みで、勘違いだったら?
大人になれば、あらゆることに、自分の型ができてくる。しかも、誰かに指摘してもらうこともなければ、客観視する能力にも欠けてくる。その「スタイル」に従っていれば、何も考えずに済むのだからラクだから、改めて考えることもない。
「だって、それが私のスタイルだから」。
スタイルとカッコよく言って、自分がまだまだ変化させられる可能性のあるところを、ラクして流してはいないかな、と思うようになったのは、ブランド・コンサルタントの守山菜穂子さんとやっているサウンド・マガジン「Beautiful 40's」の第3回目で、40代のファッションの具体例について話し合ったからだ。
彼女は、「私はショップに行ってとことん試着するんです。まだ試したことのない新しいアイテムがあれば、気軽に試着してみればいいと思う。意外と、似合うものが見つかるかもしれないですよ」と言った。
ああ、そういえば、私は、ガウチョパンツやロングカーディガンなんて、背の低い私には絶対に似合わないと決めつけて、試着などしてみようとも思わなかった。もしかしたら、ファッションだけでなく、ほかにもそういう思い込みで逃してしまっているものがたくさんあるのではないか? と気がついたのだ。
「スタイルのある大人の女」とは、もしかしたら、頑固で融通の利かない女、と同義なのかもしれない。それよりも、変わっていくことを怖れない、柔軟な大人の女でいたい、と思う。
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Cover photo : Miki Ikeda