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カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

アテネで革サンダルを作る〜ピースボート乗船記

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MELISSINOSでセミオーダーしたサンダル

2019年4月20日から8月1日まで、横浜港を出港し世界一周して戻ってくる「第101回ピースボート」に乗船しています。その日々の記録を残していきます。

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2019年5月21日(月)、日の出06:11、日の入20:33 37°56′N 023°38′E 23℃ ギリシャ・ピレウス

ピレウス港を利用するのは客船だけではない。ひっきりなしに出て行く船、入ってくる船。定期船である。ここからクレタ島やミコノス島やロードス島に、人や車をぎっしりと乗せていくのだ。観光という目でしか見ていなかったギリシャが、とたんに人々の生活の息づかいが聞こえる場所に感じられてくる。

09:00、船を出て今日もアテネ市内に向かう。我々が停泊しているここターミナルCからは、まずターミナルAまで巡回バスで約5分。その後ターミナルAから地下鉄ピレウス駅まで徒歩約30分(!)。昨日は早い時間に出かけたのでわからなかったが、今日はさまざまな店がオープンして活気を見せている。カフェ、インテリア店、電気店、鮮魚店。ここにも人々の日々の生活があるのだ。

地下鉄でモナスティラキ駅へ。アテネの地下鉄は3本しかないので、すぐに乗りこなすことができる。この駅に来た理由は、1920年創業のMELISSINOSという革物店に自分のサンダルをセミオーダーしたかったからだ。

ジャクリーヌ・オナシスや近年ではサラ・ジェシカ・パーカーなどのセレブリティも訪れてここでサンダルを作ったという輝かしい歴史をもつ店。しかし見た目は単なる街の革サンダル店というところがいい。10時開店だと聞いていたが、10:05時点でまだシャッターが閉まっていたのでいったん退散。開店時間が違うのか、ギリシャ時間というものがあるのか。

シンタグマ駅に向かい、今日はコロナキ地区を散策することにする。東京でいうと銀座の並木通りといったところだろうか、ブランド店が軒を連ねるが、間にカフェや地元の用品店なども交じる地域だ。

アテネには坂が多い。コロナキ地区の坂をどんどん登っていくと、立派なギリシャ正教会が現れた。そっとのぞかせてもらう。暗い。ひっきりなしに地元の人が訪れては、ろうそくを買って祈りを捧げてゆく。観光客などもちろんひとりもいない。静かにミサ曲の流れる中、だんだん目が慣れてくると、素晴らしい装飾が目に入ってきた。圧倒されて、ここでしばしの静かな時間を過ごす。

教会近くのカフェレストランで昼食にする。グリーク・コールド・カッツとグリーンサラダとチーズコロッケとロゼ。最高の組み合わせだ。ここにもほとんど観光客はいない。ピースボートで寄港すると、どこに行ってもピースボートの乗客がいて正直、辟易してしまうのだが(なにしろ1000人も一度に上陸するのだ)、誰にも会わないこういう場所にいるとほっとする。そういう自分もピースボートの乗客なんだけれど。

モナスティラキ駅へ戻り、また革物店をのぞく。開いていた! いったい本当は何時に開店したのだろうか。客でほぼ満員だが、開いている椅子を見つけて腰かけると、写真の入った冊子を手渡される。ここから好きなタイプのヌメ革のサンダルを選ぶと、足に合うようフィッティングしてくれるのだ。基本の型は28種類あったが、私はAELIAN1というタイプにした。

ヨーロッパサイズでいくつだと聞かれ、とっさに答えられないでいると、ちらりと私の素足を見て店のスタッフがぴったりのサイズを選んでくれた。足に合わせ、ストラップに穴を開け、長さを調整してくれる。その後、革を保護する油脂をすり込んで手渡してくれた。45ユーロ。ヌメ革が、履きこむほどにいい色になっていってくれそうで楽しみだ。

3代目のMELISSINOS氏は自分では手を動かさず、じっと店内に座ってスマートフォンなどいじっていた。もう実作業は後進に任せてアイコンとして存在しているのだろうか。どこからか犬の鳴き声が聞こえてくると思ったら、白いムクムクの犬が椅子の下から現れた。この店のFacebookページには、3代目MELISSINOS氏がこの犬と散歩をしている写真がアップされている。

バスに乗って港まで帰ろうとシンタグマ広場まで戻るが、喉も渇いたのでカフェでMythosというギリシャのビールをドラフトで。からりと乾いた空気。良く晴れており、暑いのだが影に入るとひやりとするほどだ。まさに地中海紀行。気持ちがいい。いつまでもここに座ってのんびりしていられる。

待てども待てども40番のバスは来ない。待ちくたびれた大勢の人々はどのバス停にもひしめいており、結局バスは1時間かかってピレウスに到着した。ターミナルC。オーシャンドリーム号が待っている。

やれやれ、いろいろストレスもあるけれど、結局、今はここがマイホームであることは間違いなさそうだ。