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カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

ナイル川とピラミッド〜ピースボート乗船記

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ピラミッド展望所から見る3大ピラミッド

2019年4月20日から8月1日まで、横浜港を出港し世界一周して戻ってくる「第101回ピースボート」に乗船しています。その日々の記録を残していきます。

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2019年5月17日(金)、日の出04:53、日の入18:40 31°16′N 032°19′E 25℃ エジプト

朝4:30、レセプションからの放送で目が覚める(少し前にかすかに覚めてはいたんだけど)。今日は多くのお客様がオプションツアーにお出かけになる日です。ツアーの集合に遅れないようお支度ください。外はまだ暗い。

そうなのだ。ここポートサイドからエジプトの首都・カイロまでは車で約3時間ほどの距離。個人行動ではカイロやピラミッドまで行くことが困難なので、多くの客がオプションツアーを申し込んでいるはずだ。基本的には個人行動をする私もしかり。

オプションツアーにはいくつかの種類があり、私が選んでいたのは「ナイル川ファルーカ(帆船)体験とピラミッド見学」というもの。博物館やピラミッドの玄室見学には、今回、行かないことにした。またカイロに来ることもあるだろうし、メジャーな場所はその時にまた行けばいい。旅先ではやりたいことを少し残しておくのが私のやり方だ。

オーシャンドリーム号からのツアーバスは約40台。エジプトではこういったツアーのすべての行程を「ツーリストポリス」が管理しており、要所ではパトロールカーが伴走したり、ポイントポイントでは物々しい警備体制が敷かれている。

ピースボート自体も6-7年ぶりにエジプトに立ち寄るのだという。実際、不安定な情勢は続いている。

3時間のバス移動の最中はトイレ休憩がないので水分を控えるようにというアドバイスがあり、朝からほとんど水分を口にせずじっと我慢する。トイレに行きたくなるよりマシだ。朝食はボックスに入ったジュースのパックとパン2つ。これもジュースを飲まずパンだけ食す。

我々のバスの現地担当者、ミド氏(本名はモハメド氏)は日本語がとても堪能な方だった。エジプト国内で俳優もしており、映画やテレビドラマにも出ている。米国で俳優をしたいという夢をもって、英語、日本語、フランス語の勉強を続けているのだとか。彼はムスリムなので、日中は一切の水も食物も口にしない。

約3時間後、カイロに到着。ポートサイドよりはこぎれいに整備されている印象だが、やはり相当、埃っぽい。そして暑い。カイロは約34℃。昨日は44℃だったので今日はまだマシなほうですよといわれる。

バスはナイル川に到着。さっそくファルーカ(帆船)に乗りこむが、あいにく風がなく、モーターボートで引かれてのセーリング。30分ほどと聞いていたが、そういうわけで、船着き場から船着き場までの移動となり、10分あまりで「体験」は終わってしまった。まあ、こういうハプニングも旅のうちだ。

バスはギザへ。こういうツアーにお約束の土産店に立ち寄る。店内にはもっと雑多なものがあると思っていたが、連れていかれたのが意外にも高級店で、神々やファラオ、ピラミッド、スフィンクスなどを模した飾り物や宝飾品が並んでいる。ミドさんに「無理に買わなくてもいいですよ」と言われていたのだが、黒い猫の姿をした神の像を一体、買うことにした。25ドルと言われるが、どう見ても元値は相当、安い品だ。値切ったが、22ドルにしかしてもらえなかった。

昼食は、3大ピラミッドの見えるレストランでのバイキング。正確にはエジプト料理とは言わないのかもしれないが、なんともエキゾティックな味付けはけっこう私好みだ。

ところで、ピラミッドの写真や映像を見たことのある人は、砂漠にポツンとピラミッドがあるようなイメージをしているかもしれないが、実は人の暮らす街にほど近い。いや、もっというと「めっちゃ近い!」。

そのへんのアパートメントや商店、人やバイクや車やラクダ(!)のひしめく道の向こうに、なんてことないような風でチラチラと見えている。そう聞いていたが、想像するのと実際に見て感じるのとでは大違いだ。

炎天下、いよいよクフ王のピラミッドへ、底辺の一辺が約230m、当初の高さは146m。その稜線は正確に東西南北をさしている。その他、多くの緻密な計算によってこの建造物が成されていることがわかっている。最新の技術によってさらに多くの謎が解き明かされようとしているのは、以前の記事でも書いた通りだ。

遠くからはオモチャのように見えていたが、近づいていくと、大きい。かなり大きい。いや、とても大きい。私が今回、船旅に出るきっかけとなった福澤諭吉も『西洋旅案内』(1867)で「カイロより三里計の処に、ピラミドとて目を驚すほど大なる石塔二あり」と書いている。

観光客が多く(ほとんどは我々の一団だ)、さらに暑く、ピラミッドで沈思黙考するという当初の予定はほんの数分しか達せられなかったが、実際に目で見て、手で触れて、古代のイノベーションについて思いを馳せる。長く過酷な道のりであったろうが、どれだけ心躍る道のりであっただろうかとも思う。

3つのピラミッドを詳細に見て回る時間がないので、ピラミッド展望台へ。3大ピラミッドが一望でき、その向こうには市街地が見える。あまりにも絵的で、なんだか実感が湧かない。せっかくなので、駱駝に乗ってみることにする。古代より「砂漠の船」とも称される、砂漠地の重要な家畜だ。

駱駝はおとなしく四肢を折って待っている、背中に乗って捕まると、まず後ろ脚、そして前脚をのばす。この時、斜めになるので振り落とされそうになるがしっかりと捕まっておくのが肝心だ。

視点がいきなり高くなって驚く。それはそうだ、駱駝の肩の高さは2メートルにも達するのだから。しばらく歩いてみると、古代、駱駝を共にして暮らした人々の心強さが思われた。

スフィンクス前の公共トイレで最後のお手洗いだ、と言われて、ガイドのミドさんから5エジプトポンドを受け取る。エジプトの多くのお手洗いがチップ制である。ここの行列がすごかった(まあ、ほとんどが我々の一団なわけだが)。おかげで、スフィンクスの近くまで行く時間が取れず、遠くからその姿を見ただけで終わってしまった。

3時間かけてポートサイドへ戻り、船の周りのアラブ商人から記念に白いカフタンを買う。言い値10ドルを値切って8ドル。またどこかの寄港地で活躍してくれるだろう。

それにしても、ポートサイドの街には野犬や野良猫が多く、どの犬猫もみすぼらしく汚れ、痩せている。彼らはちゃんとと餌にありつけているのだろうか。それなりに幸せに暮らしているのだろうか。ポートサイドに生まれた彼らの運命を思う。

21:00、船はゆっくりと岸を離れ、地中海に入った。今夜は次の寄港地・ギリシャのサントリーニ島のサマータイムに合わせて、時計を1時間「進める」作業がある。日本との時差は6時間。