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カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

カーテンを閉める〜ピースボート乗船記

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カーテンを閉めた室内

2019年4月20日から8月1日まで、横浜港を出港し世界一周して戻ってくる「第101回ピースボート」に乗船しています。その日々の記録を残していきます。

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2019年5月13日(月)、日の出05:46、日の入18:53 19°11′N 039°55′E 32℃ 紅海

霧のような白く煙った海面が続いている。紅海がこんなに煙っているとは予想していなかった。あるいはこれはサウジアラビアのハムシーン(砂嵐)なのかしらなどと思ってみる。実際にハムシーンに遭うと、機器類は細かい砂が入り込んですべて故障してしまうのだそうだ。

公共スペースで毎日オカリナを吹いているご婦人がいる。ぽーぽーぽーぽー吹いている。今日の練習曲は主に「贈る言葉」である。どんなにいい曲でも、紅海に来てまでぽーぽーぽーぽー聞きたくないと思う。そうですよね。公共の場所での楽器の練習は禁止されていないのだろうか。それに、笛はやたら遠くまではっきりと音が届く楽器なのだ。

今日から自分の部屋のベッド周りのカーテンを閉めることにする。閉めてみたら気分が落ち着くこと落ち着くこと。これまで閉めていなかったのかというと、そうなのだ。同室者が閉めないので、ついつい気を遣って閉めずにいた。まるで拒否しているように見えはしないかと思って。

部屋に帰ってきた同室者があれっというような雰囲気である。調子が悪いのかと聞かれたのだが曖昧に答えておいた。ちゃんと「プライベート空間がほしい」と正面から話した方がいいのかもしれないとも思うけれど。

昨日、太陽がほぼ真上にあると書いたが今日が正真正銘その日だった。正午現在、船は19°11′Nに位置するが、太陽は18°30′Nの位置にあるのだそうだ。デッキに出てそのへんにいる人たちと写真を撮りあう。

午後は水先案内人である元NHKの須磨章さんの「猫は犬より働いた」と題するトークを聞きにいく。もともと猫好きではなかった須磨さん、ふとした縁で野良猫を飼うようになってから猫好きへと転じ、同タイトルの書籍も上梓している。

源氏物語に登場する猫、神とあがめられエジプトでミイラにされた数多くの猫、悪魔の使いとされヨーロッパで虐待された猫、と、その歴史は興味深い。そもそもはネズミ獲りをするところからその有用性があがめられ、闇にキラリと光る目から神格化、あるいは悪魔の使いといわれたということなのだそう。

思わず我が実家に残してきた猫たち、ノルウェージャンフォレストキャットのルルとアビのことを考える。たまの両親からのメールに「元気にしています」「今は昼寝しています」などとあるが、広い実家でのびのびと育てられたら、東京の狭い1LDKに連れ戻すのもかわいそうなのではないかとちらりと思う。そもそも猫には「今」という概念しかないらしいので、私のことなどとうに忘れているのかもしれない。

船はやがてスエズ運河に達するが、17時までに入口に錨を降ろさないと、翌日通行開始できないのだそうだ。運河前には、通行を待つ多くの船が待ち時間を過ごしているのだという。我がオーシャンドリーム号は、今の予定では5月16日の1番か2番に通行開始できる見込みと聞いた。

夕方から「世界を周る船乗りたち」というトークショーを聞きに行く。今回の登壇者はホテルマネージャーのコーネリス氏。オランダ・アムステルダム出身である。キャリアのはじめは料理人だったらしいが、縁あって航海の仕事に就き、もう46年とか。オーシャンドリーム号では我々乗客の暮らしにかかわる一切を取り仕切る。

もっとも大変だと思うことは、という質問に「ロジスティクス」ときっぱりと答えていた。どこの港で何の食料を積むか、水を積むか。そういったことを事前に計画し、手配しておくのがなかなか大変らしい。次回はギリシャのピレウスで多くの食料や水を積むのだそうだ。ピレウスはそういった意味で重要な寄港地なのだ。

夜はカーテンを閉めたまま村上春樹『遠い太鼓』の続きを読む。同室者は21:30に暗くして寝てしまった。