EDIT THE WORLD

カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

大人の女のひとりの食事と幸福論。

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「食事ってさ、結局、何を食べるかより誰と食べるか、が大切なんだよね。」
「孤食って、ダメだよね。」

 

うん。そんなのわかってる。理屈をいわなくたって、ちゃんと体感してる。でも、その前に。そんなシチュエーションにならないことも、多いのよ。

ひとりっ子でいわゆる鍵っ子だったから、子どもの頃からひとりでご飯を食べることが多かった(嫌いなものを残すと、後で怒られたけどね)。そういう子は、まわりにもけっこういる環境だった。

 

嫌いなものを無理に食べなくてもいいような大人になって、いろいろな時期を経て、さらに年を重ね、私はふたたび毎日、ほぼひとりで食事をしている。

朝のコーヒー。出先や社食でのランチ。約束やパーティーがない日の夕食。誰と食べるかが大切、といわれても、ひとりで食事せざるを得ないのが現実なのだ。さびしい女だと思われるのだろうか?

人はひとりで過ごすと、一般的に、幸福度、モチベーションや集中度が低く、無感情の状態になるという。ひとりでいて何もすることがないと、精神は心配すべきことを見つけて考え始めてしまうのだそうだ。確かに、そうだと思う。

 

ものを食べるときには、普段よりもポジティブな感情を感じる傾向にあるということが研究でわかっている。けれど、食事の時間は、起きている時間のほんの5%程度。その時間を、ひとりで食べなければならないからと憂う必要があるだろうか?

 

むしろ、ひとりでいるときに自然にマイナスになりがちな感情ってやつを、食事というポジティブな感情で補うといいんじゃないの、と思う。

 

ひとりの食事の時間をより幸福なものにするために、私はいろんなことを心がけている。

たとえば、テレビを始めとする映像コンテンツは見ない。本を読んだりネットを見たりSNSもしない。つまり、ほかのことを考えず、ちゃんと、食事に集中することにしている。

食べるものは、可能な限り、なにか自分にとって意味のあるものにする。農家の友達がつくったお米を炊くとか。震災復興マーケットで買った野菜を使うとか。おみやげでもらった調味料を使うとか。女子友と交換したレシピでつくるとか。今度、恋人と一緒に食べたいと思っている料理を試作してもいい。テイクアウトでもレトルトでも、これが好きだから、と意思をもって選ぶ。

外食だってそうだ。ひとり客をあたたかく迎えてくれる心地のいい店を、いくつか見つけておくといい。私には、1杯だけいただくグラスワインを、いつも無言でほかのお客さんより多めに注いでくれる行きつけのビストロがある。ランチタイムには、苦手な食材が入っていないかどうかをチェックして先に教えてくれるオステリアもある。

 

そうして日々を自分なりにていねいに過ごしていると、誰かと食事をするという素敵なチャンスに恵まれたときは、その時間をより幸せに感じられる気がする。

 

もうずいぶん前に、友人がこう言った。誰かに食事に行こう、って誘われるのって、奇跡みたいな出来事なんだよね。だって、いろんな条件が揃わないと実現しないじゃない? だから大事にしたいんだ。

まだ大人になりきれていなかった私は、たかがご飯を食べに行くだけのことを、ずいぶんたいそうに表現するのね、と驚いた。でも、年を重ねていくうちに、それが本当に奇跡の連続だったのだということを、少しずつわかっていった。

 

大切なのは、あなた自身が、どうすれば心地いいのか、気づくことなのだと思う。自分自身を注意深く観察してみると、いろいろとおもしろいことがわかってくる。ひとりの食事はきっと、それに最適な時間だ。

「フロー*」という概念を提唱した米国の心理学者、ミハイ・チクセントミハイは、幸福であるために交友関係の重要さはどれほど高く評価してもしすぎることはないという。しかし、こうも述べている。

 

長い目で見ればより有用であるという点で習得するべきスキルは、孤独に耐え、孤独を楽しみさえする能力である。『フロー体験入門』

 

毎日の生活を素晴らしいものにするかどうかは、あなた自身がものごとをどのようにとらえ、どのようにするか、にかかっている。

 

子どものころ、孤食を経験してきた私は、それでもなんとかちゃんとした大人に育ってきたんじゃないかと思うんだけど、どうだろう(笑)


ブランド・コンサルタントの守山菜穂子さんと月に1回公開しているサウンドマガジン「Beautiful 40's」では、毎日の「食」をもっと楽しくする40代女性たちの視点、というテーマで語りあっている。

ここでは「自分でコントロールできるという感覚は大事」ということを話したり、私がとある告白をしてみたり…ぜひ私たちのおしゃべりも楽しんでいただければうれしいです。

*フローとは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう(Wikipediaより)

 

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