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EDIT THE WORLD

カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

人には大きな悲しみから立ち上がり、成長する力がある。

幸福 ポジティブ心理学

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平成28年熊本地震の最中にこの記事を書いています。

 

私は熊本市の出身です。両親や親戚、多くの友人が住む町や、何度も行ったことのある場所の刻々と変わる被害の状況、度重なる余震のことを報道で見て、メッセージで励ます以外何もできない自分にはがゆい思いをしています。

 

そこで、自分にできることは何かと考えた結果、私がかつて出合ってつねに胸に置いているひとつの考え方をここに書き留めてみようと思います。

 

PTGという言葉をご存じでしょうか。これはPost-traumatic Growthのことで、日本語では「心的外傷後成長」と訳されることが多いようですが、まだほとんど知られていない考え方かもしれません。

報道などでもよく聞くようになったPTSDはPost-traumatic stress disorderのことで「心的外傷後ストレス障害」。この反対の概念がPTGです。

 

PTG=心的外傷後成長は、災害、事故、病気、親しい人との死別など、大きなストレスとなる出来事のあとに人は精神的な成長を遂げることができる、という考え方をいいます。

 

つらい出来事のあと、人は元に戻ることができるだけでなく、肯定的に変化することができるというのです。

 

たとえば、他者への共感が増す、強さや自信が増す、生きていることや周囲への感謝の念が増す、ライフスタイルや仕事の優先順位が変わる、死生観が変わる、などの変化があるといいます。

でも、実際に不安や悲しみや苦しみの最中にあるときにこう言われても、すぐには信じがたいでしょう。それではどうすればいいのか。

 

ポジティブ心理学を専門とする米・ポートランド州立大学講師のロバート・ビスワス=ディーナー博士は、次のように言っています。

「どうしようもなくつらいときは、それをまず感じてみるのです。無理して気持ちを鼓舞することはありません。まずは逆境に耐え、受けいれ、受け止めてみましょう」

 

結論を急がないこと、とも博士は言います。

 

「心が変化するには、新しい考え方になじまなくてはならないため、時間がかかります。ある程度時間がたって、自分に起きたことを客観的に見られるようになってから、新たな見方でものごとを理解し、前向きな経験を引き出せるようになるのです」

参考:『「幸せ」について知っておきたい5つのこと』(KADOKAWA)

 

「『悲しみ』という感情には、一時撤退して状況を把握し、再起をはかるチャンスをもたらすという機能がある」とディーナー博士。

 

悲しいこと、つらいことはもう起きてしまいました。今はまずそのつらさや悲しみを受けいれる。そしてゆっくりと少しずつ、手元にある幸せを確認し、思いやりや感謝の気持ちを見いだしていく。そうすれば、人は、逆境から立ち直るだけではなくて、起き上がり、さらに跳ね上がり、成長することができるのです。

かつて、あなたがそうしてきたように。そして、今回もあなたがそうできるように。

 

この稿が、熊本地震で直接被害に遭われたかたや、支援しているかた、また、遠方で見守っているかたの一助になりますように。

※これまでの取材や各種研究論文、書籍なども参考にしました。

Photo : Miki Ikeda via Instagram