読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

EDIT THE WORLD

カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

凡フライという圧倒的リアリティ。

f:id:honey0202:20150908232404j:plain

主催・運営している「100人プロジェクト 大人の林間学校@富山」の2015年夏の部で、ほんのちょっと野球に参加した。

富山県南砺市の福光という地域は、木製バットの生産量が日本一。そう聞いて、プログラムに組み込んだのだ。聞けば、多くのプロ野球選手のバットも制作しているメーカーさんがあるのだという。

 

とはいえ、私はそのプログラムの担当ではなく、野球小僧達が寄ってたかって野球を楽しむのを、別のプログラムを担当しながら見ていた。

野球が好きだったといえる時期はないに等しく、とはいえ、子どもの頃は親にねだってグローブを買ってもらい、家の前の道端で母親とキャッチボールをするのが好きだった。

 

『ドカベン』を読み、里中君に憧れた。水原勇気だって知っている。おっと、漫画ばかりじゃないか。

 

社会人になってからは会社のレクリエーションで野球をやって、ピッチャーを経験した。草野球が終わって飲むビールが格別に美味だった。

とはいえ、バッティングセンターに行ったことがあるわけでなし、つまり、私の野球経験はほぼゼロなわけだった。

しかし、小僧達がグラウンドでワイワイ言っているのは楽しそうで気になる。自分のプログラムが終わってから見に行った。

いやー楽しそうだ。実に楽しそうだ。

そうしたら、代打をやれという(あとで知ったのだが、これは代打ではなくもはや終わったゲームに小僧達が私の打席をプラスしてくれただけだった。感謝)。いやいやいや、無理でしょ。バット触ったのなんて子どもの頃以来、ないし。

 

一球目も二球目も大きく空振りで、もちろんタイミングすら合っておらず、こんなに細い棒にあの小さな球が当たるなんて単なる奇跡に思えた。絶対無理だ。醜態をさらして終わりだ。

いや、でも三振はしたくない!!

そう思った瞬間に、脳のシナプスに電流が走った。

拡張された自己。私は以前、とあるインタビューでそう言った。ICTのことを。バットは自分の手の延長。ならば、よーく球を見ていれば、どう腕を動かすべきかわかるはずだ。だって、それはICTより確実な物理的現実なんだもの。つまり、打てるはずだ。一瞬でそう考えた。

そして、理屈を振り捨てて本能で振った。…当たった!

 

実に平凡なフライだったその球はいとも簡単にキャッチされ、とりあえず一塁まで走り抜けた私に非情なアウト宣言がなされた。私はキャッチした人に「無粋だーー!!」と叫びながら走ったらしい。

 

バットに球が当たった瞬間のちょっとふわりとした感触、躊躇しながらも方向を変え、送り出される球がバットに触れている瞬間のその感触は今でもはっきり覚えている。

何千、何万回もキーを叩き、クリックして得られる脳内現実と、その体感はまったく違った。圧倒的な現実だった。

様々な印象を残したイベントごとも、しばらく時間が経つとどんどん風化され、自分の中にエッセンスだけが残っていく。

 

今回の大人の林間学校の中心はどこだったか、と問われると、あの「私のバットに球が当たった瞬間」だった、という気がする。

 

どんなヴァーチャル・リアリティも、リアルにはかなわない。そういうことなんだろう。


ご協力いただいたトヤマ運動具製作所さん、ありがとうございました!

www.toyama-bat.jp

 

※今回の100人プロジェクト 大人の林間学校@富山」は2日間、NHK富山さんの密着取材を受けました。9/10(木)18:10〜の「ニュース富山人」内で放送される予定なので、富山地区の方はぜひごらんください。

2日間、ガッツをもって自ら参加者となってリポートしてくださった鈴木祐実キャスターに心から感謝を申し上げます!


www.nhk.or.jp