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EDIT THE WORLD

カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

Orange is the new pink〜ロゼなんて飲んでないで、オレンジワインにする?

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7月にブルックリン・ワイナリーに行ったときに表の黒板にこうあった。「Do you even drink Rosé, Bro?〜まだロゼなんて飲んでんのかい?」

ブルックリン・ワイナリーについてはこちらもどうぞ。

blog.mikiikeda.tokyo

 

近年、ロゼといえばニューヨークでは特に"夏のワイン”と意識され、夏になるやいなや店頭に大々的にディスプレイされ、コーナーが拡充される。とあるカジュアル・ファイン・ダイニングに出かけたときに、老若男女を問わず、お客がみな、ロゼを飲んでいて仰天したこともある。

日本のダイニング・シーンでのロゼとなんというイメージの違い…! と。

 

"Pink is the new black"という言葉が2013年〜2014年頃にニューヨークでよく聞かれた。the new blackとは流行色…引いては"定番”を意味するスラングで、ファッションシーンではもちろん、ワインのシーンではPink、すなわちロゼは私たちの定番ワインよ、という言い方でよく使われていた。

 

そう、ニューヨークでは大人は皆こぞってロゼを飲むのが当たり前、ということになっていたのである。

 

そこに今年、異変を感じる出来事があった、昨年、同じ時期のブルックリン・ワイナリーに行ったときにはなかった上記のような看板が我々を挑発している。「まだロゼなんて飲んでんのかい?」と。

 

せっかく夏のニューヨークに来てるんだもの、そりゃあロゼを飲むでしょう。でも大好きなブルックリン・ワイナリーがそう言っているのはこういう意味だった。

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メニューにあるフライトのネーミング。"Orange is the new pink"。そう、オレンジはロゼに代わる定番なんだぜ、ということ。オレンジワイン…? いったいなんなの…?

 

調べてみると、通常、白ワイン用のブドウを作るときにはすぐに取りだしてしまう果皮や種をそのままにしてつくったワインのことをこう言うそうで、古くはジョージア(旧グルジア)でおこなわれていた製法のことらしい。長いこと果皮が果汁に含まれて発酵されることで、オレンジ色になる。

 

対してロゼは赤ワイン用のブドウからつくるもので、一般的な製法では、果汁にほどよく色がついたところで果皮を取り出す。

 

そもそもブドウも作り方も違うというわけ。

 

ただし、メニューをよく見るとわかるように、ブルックリン・ワイナリーでは厳密にその分類に従っているわけではないらしい。だって、ジンファンデルやカベルネ・ソーヴィニヨンのロゼを「オレンジ」と称しているんだもの。

 

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ならば、と、リースリングをつかった、オレンジワインの製法でつくられたオレンジワインを頼んでみた。なるほど、上の写真のような色で、ロゼとは少し違う。

いざ飲んでみると…おお、シェリーのような濃厚さと渋みと苦みと…なんだか、私の知っている"ワイン”じゃないし、オレンジと聞いてイメージする爽やかさとは違う、オトナな味…そしてなんだか…よりほかのワインより酔ってしまう気がする。気のせいだと思うけれど。

私はワインそのものの専門家ではないのでこれ以上詳しいことは書けないのだけれど、今、オレンジワインは各国でつくられるようになっているのだとか。

ブルックリン・ワイナリーの後、ニューヨークワインの産地のひとつであるロングアイランドに出かけ、CHANNING DAUGHTERSというワイナリーでテイスティングさせてもらった。コーネル大学と共同で、様々なブドウ品種の生育を試すために、ニューヨークではめったに聞かない品種を使ったワインを多く出しているところだ。

 

ここにもオレンジワインがあった。

 

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RAMATOとはイタリア語で赤褐色とか金褐色という意味。このオレンジワインはピノ・グリージョを使ってつくられていた。ここでは、RAMATO以外にも、全部で4種のオレンジワインがつくられているとか。

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オレンジワイン。目新しいものをさっと拾ってパッと紹介する、というメディアの世界で長らく生きてきた私にとっては「おもしろい」と思える出合いだったけれど、ともに取材に行ったワインナビゲーターの友人は慎重だ。

ロゼの次はオレンジワイン、なんて記事がたくさん出て妙なブームみたいになったら、なんだか変なことになりそうな気がする。だって、まだ日本ではロゼすら定番として飲まれているわけではないからね。

 

そうだね。それには同意する。でも私はやっぱり、新しく出合っておもしろいと思ったものを、いち早く人に伝えたいという気持ちがあるんだ。エディターだから。

 

というわけで、自分自身でよく昇華せぬまま「ニューヨークで出合ったほんのいくつかのオレンジワインのシーン」を、書き留めてみた。どうやら、ブームになりつつあるのは本当らしいから。

次回出合うのはいつ、どこでということになるだろうかと楽しみにしつつ。