EDIT THE WORLD

カメラを持って東京と日本各地と世界を行くエディターのフォトログ

BROOKLYN WINERY ブルックリン・ワイナリー〜都市型ワイナリーが体現する、ライフスタイルとしてのワイン

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昨年行ったときのメモを見るとこう書いていた。

「ワインを"つくる"ことからではなく"飲むシーン"から発想するとこうなる、という都市型ワイナリーの象徴のような存在。カッコいい」

BROOKLYN WINERY ブルックリン・ワイナリーのことだ。

ニューヨークワインが好きなんですよ、というと「ニューヨークでワインが?」とたいてい、言われる。それは、ニューヨークと聞くと頭の中にマンハッタンの摩天楼が思い浮かぶからだ。私もそうだった。

「あんな場所のどこでワインをつくっているの?」と。

しかし、ニューヨーク州は広い。ブドウの産地があり、300以上のワイナリーがあり、生産量は全米第3位だ。畑があり、醸造所があり、いわゆるワイナリーらしい光景が広がっているその"ニューヨーク"には、人混みと喧噪とビル群とイエロー・キャブのクラクションはない。

そんな中で、もっとも「ニューヨークらしい」と人々がイメージするのはこのブルックリン・ワイナリーじゃないだろうかと思う。

 

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ブルックリン、ウイリアムズバーグのど真ん中。

ブドウ畑などありようもないこの場所でワインをつくることができるのは、他の場所で栽培されたブドウをつかって醸造のみをおこなっているから。少しずつ増えてきている、アーバン・ワイナリーとよばれるスタイルだ。ここブルックリン・ワイナリーでは、主にフィンガーレイクスやロングアイランドなどのニュヨーク州のブドウをつかっている。

ワイナリーながら、テイスティングルームは設けず、あくまでもそこはワインバー。ワインをこんな風に気楽に味わってほしい、というスタイルを提供しているのが素敵だ。私のように、ワインそのものではなく、"ワインを飲むというライフスタイル"を楽しみたい、というタイプにはとてもしっくりくる。


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この日はカウンターに陣取った。

「何を飲みたい? ブルックリン・フライト? OK、君はさっきグラスでロゼを飲んだから、フライトは白と赤にしよう。僕に任せてくれる?」

軽やかでリズミカルなサービスをしてくれるスタッフに、ワイナリーに来ている、という緊張はほぐれ、そうだ、楽しくワインを飲めばいいんだ、という当たり前のことをふと思い出して、身体から力が抜ける。

ケールサラダやフムスをつまみつつゆるゆると飲んでいると、次々に客が訪れる。

カウンターで同じくフライトをオーダーした女性2人客は、何をおしゃべりしているのか、終始笑いあっている。カウンターの入口付近で立ち飲みしていた人がいるかと思うと、次々に友人達がやってきて合流し、一杯飲んでさっと出て行った。待ち合わせだったのだ。

かと思えば、ピリッとしたスーツにリュックという姿で現れた会社帰りの男性は「今夜、家で飲む1本をくれないか? そうだな、シャルドネがいい」と、冷えたワインをむきだしのまま片手に持ってさっそうと帰っていく。

気がつけば、背後のテーブル席は満席になっていた。

 

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共同創業者のひとりであるブライアンが通りかかって「WOW! 会うのは1年ぶりじゃないか!? ようこそブルックリンへ。楽しんでる?」と声をかけてくれる。「今回の出張はどこをまわってきたんだい?」

「今回は主にマンハッタンで、ニューヨーカーがどんな風にニューヨークワインを楽しんでいるかを取材しに来たの」

すると首を振るブライアン。「マンハッタンか…僕はほとんど行かないね。だって、僕に必要なものはブルックリンに全部揃っているんだもの。日用品だってレストランだって、ほら、素敵なワイナリーだってここに!」と笑う。

これから近所に買い物に出かけるんだ、というブライアンは、昨年、取材で訪れたときとは別人のようにリラックスしている。

あ、なるほど。ブライアンにとって、ここは「地元」なんだ。だから、ここで君も僕らがつくったワインを飲みながらリラックスしてよ、とナチュラルに言えるんだ。それはもはや「提案」ではなく、自然な空気感だったんだと気がつく。

「またいつでもおいでよ!」と、まるで1ブロック先に住んでいる友人に挨拶するかのように言うと、ブライアンは出かけていった。この気楽さが実に心地いい。私もニューヨーカーであるような錯覚。


いつものようにメトロのLラインで帰るのもいいけれど、今日はイースト・リバー・フェリーに乗ってみようかと思った。風に吹かれて、もっとニューヨークを感じていたかったから。

 

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ブルックリン・ワイナリーについてはGO-TO WINEさんにも詳しい記事が掲載されています。